猫の予防医療

猫の予防医療

予防医療

ノミ・マダニ対策

猫に寄生するノミやダニは様々な種類がいます。
ノミの大きさは約1~2mmで、13℃以上あれば繁殖できると言われています。夏場は動きが活性化します。たまに外を散歩させるような飼い方をしている場合は屋外からノミやダニを連れて帰ってきている可能性があります。繁殖力が非常に強いため、一度室内で繁殖すれば駆除は大変です。
ノミに寄生されると、猫は皮膚の痒みにより足で体を掻くことがあります。また、皮膚を掻くことで傷ができると、そこからウイルスや細菌などにも感染しやすくなってしまいます。

マダニは犬や猫、野生動物などから吸血し、成長していきます。草むらを好むので、山や林などに多いですが、都心の公園にも生息しています。知らないうちに寄生していた、ということも少なくありません。
マダニのノミ同様、細菌やウイルスなどの媒介役にもなり、さまざまな病気をおよぼします。

皮膚に液体を滴下するタイプのノミ・マダニ駆除薬
フロントライン
フィプロスポット
マイフリーガード
レボリューションプラス
ブラベクト

飲ませるタイプのノミ・マダニ駆除薬
コンフォティス

どれも1ヶ月の効果です。(ブラベクトのみ3カ月の効果)

混合ワクチン接種

生まれたばかりの子猫は、生後まもなく飲む母乳中に含まれる母猫からの免疫(移行抗体)により、様々な病気から守られています。しかし、この移行抗体は生後数ヶ月で消失してしまうといわれています。
したがって、子猫にワクチン接種を行い、子猫ちゃん自身に新しい免疫力をつけなくてはなりません。ワクチン接種を行ったときに、移行抗体が子猫の体に残っている場合には、ワクチンの効果が不十分となってしまいます。十分な効果を得るためには、母猫からの移行抗体が消失する時期に接種する必要がありますが、消失時期については、個体差があるため、初年度のワクチン接種は2回から3回に分けて追加接種を行います。
次年度以降のワクチン接種についても、継続的な追加接種により免疫を維持できることが知られています。

  • 3種混合ワクチン 猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症
  • 4種混合ワクチン 猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症、猫白血病ウイルス感染症
  • 5種混合ワクチン 猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症、猫白血病ウイルス感染症、猫クラミジア感染症
  • 7種混合ワクチン 猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症(3種)、猫汎白血球減少症、猫白血病ウイルス感染症

その他ワクチン接種

混合ワクチン以外にも単独のワクチンもあります。猫エイズワクチンは猫免疫不全ウイルス感染症を予防するワクチンですが、最初の年は3回接種する必要があります。また混合ワクチンとは別に接種しなければなりません。

猫白血病ウイルスワクチンは猫白血病ウイルス感染症を予防するワクチンです。4種以上のワクチンには含まれているので単味で接種することは少ないですが、3種混合ワクチンを受けていて追加で予防する必要が出てきたときに接種します。
狂犬病ワクチンは猫の場合、国で義務化はされていないので通常は接種しませんが、海外に猫を連れていく場合には2回接種して抗体価検査をしなければいけません。

フィラリア予防

フィラリアとは、白い糸状の寄生虫のことで、蚊を媒介して猫の体に感染します。フィラリア予防と聞くと犬の場合は対策が必要だとご存知でも、猫も対策を行なった方がよいことが意外と知られていません。

日本では蚊は全国どこでも発生することに加え、完全に室内飼いであったとしても窓などから侵入することも少なくないため、猫の感染リスクも否定できません。一度感染すると、呼吸器系の障害を引き起こし、最悪の場合は命を奪ってしまいます。

お薬はフィラリアが体内に入らないようにするためのものでなく、体内に入ってしまったフィラリアを駆除するためのものです。適切に予防を行なっていればフィラリア症は防ぐことが可能です。

皮膚に液体を滴下するタイプのフィラリア駆除薬
レボリューション(フィラリア+回虫+ノミ)
レボリューションプラス(フィラリア+回虫+ノミ・マダニ)

どれも1カ月の効果です。
フィラリア予防が必要な5月から12月まで月に1回投与します。

避妊手術・去勢手術

避妊手術・去勢手術は望まぬ妊娠・出産を避けることができるほか、病気の予防にも効果的です。メスの場合だと、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などが予防できる病気として挙げられます。
また、避妊手術・去勢手術を行うことで発情期によるストレス軽減にも繋がります。統計的には避妊・去勢手術を受けると10%ほど寿命が延びると言われています。

健康診断

元々猫は野生で生活していたこともあり、体の不調を隠す傾向にあります。また、直接的に身体上の異変を飼い主様に伝えることはできませんから、飼い主様が異変に気づいた時にはすでに重症化していた、ということも少なくありません。
定期的な健康診断は病気の早期発見に役立つ以外にも、その子の正常値を測る貴重な機会となります。